琥博くんの個性が花開く場所

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Vol.3 小学1年生。スイミングと学童に行きたくない!(この記事です)



「不登校は、本人の心の叫びを表した結果。小さい頃からずっと疑問を抱き、納得いかないことをさせられてきた結果だと思うので、早く気づかされてよかったと思います」と語る琴子さん。そこにはいったいどんなドラマがあったのか。琥博くんとのこれまでと、これからについて、乳児期からたどってお伺いしたお話を、連載でお届けします。

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小学校入学。昆虫に詳しくて自信が持てた1年生のとき

琴子さんの地域では、小学校は、5校のうちから選べました。5校のうち4校は少人数の学校で、知り合いのママから、保育園の延長みたいで手厚いという話も聞いていました。

しかし、小5の年に統廃合されることが決まっていたので、最初から馴染めた方がいいのではないかと思い、「一学年一クラス30人ほどの学校にいった方がいいのかな」と、だんなさん、琥博くんとも話をしました。

琥博くんは、ピンときていなかったようでしたが、廃校にならない、人数の多い学校に決めました。

入学に関しては特に問題はありませんでした。

子どもの足で歩いて15分くらいの距離。近くにも同級生やお姉ちゃんがおり、最初の1か月くらいは琴子さんも通学路を何となく一緒についていっていました。

子どもは子ども同士で話しながら、不安も見せず、離れるときも不安もなくバイバイといった様子です。

勉強に対しても、本人が何か訴えてくることもなく、先生との連絡帳でのやりとりにも、1年生の頃は特に問題という問題はなかったのです。

琴子さん「家庭訪問の際に、先生に『環境の変化に順応するのに時間がかかるようである』といったことを話していたので、先生も細かく見ていてくれていたのかと思います。

通知表をもらうときの面談で、学校でのお友達との様子も教えてもらっていました。

30代前半の若い女性の先生で、息子が昆虫が好きなことにも注目してくれていて、4月、校外授業で公園に虫を見に行こうという時も、「虫のことなら琥博くんが詳しいから聞こう」というふうに、息子に役目的なものを与えて、存在価値や自信を持たせてくれて。

教室に蜂が入ってきたときも、『琥博くんの指示に従おう』ということで、みんなで別の場所に避難したり。

学校以外でも、大人に虫のことを話すのも自信をもってはきはきと説明していました。

また、2学期には大好きな昆虫のことを書いた作文が県の児童文集に掲載され表彰されたことで自信に繋がりました。」

ところが、1年生の冬、今思えば何かのサインだったのではないかと思う出来事がありました。冬になり、虫もいなくなったから…?思い返すと、冬に沈むことが多い傾向にあったと琴子さんは振り返ります。

ごまかし ごまかし通わせたスイミング

「保育園の頃からすべてがごまかしだった」と言う琴子さん。

スイミングにも、ごまかし ごまかし通わせたと言います。

もともとスイミングへは、保育園から月2回、バスで行くようになっていました。

あるとき、ママ友から、小学校になってもそのスクールに入会すると聞いたことで、「このままの流れで続けられたら、泳げるようになって楽しくなるかもしれない」と思いました。

そこで、海の生き物が好きだったから、「泳げるようになったら、さかなくんみたいに潜って、海の中をみることができるよ」と促しました。

そうしてスイミングへは、小1の頃から、毎週土曜に通うようになっていました。

「帰りアイスクリーム買おうね」などと言って、行きはスイミングのバスで行かせ、帰りは車でお迎えします。

最初の頃はあまり嫌といったことは言いませんでしたが、だんだんと「行きたくない」「なんで行かないといけないの?」と言うようになり、そのうちスイミングの度に言うようになりました。

「頭が痛い」と言い、月4回だったスイミングをお休みし始め、月3回や月2回になったりしていきました。1回しか行かない月も出てくると、月に1回しか行けてないのに5千円の月謝を支払うのも…と考えてしまい、「帰りにお寿司行こうか」、などと言って誘導。

「すべてごまかしだった」と琴子さんは言います。

なんで学童に行かないといけないの!?

それでも琥博くんは、スイミングは嫌がりながら行っていましたが、学童はとても嫌がっていました。

学童へは、毎日学校が終わると、1~2年生は学童の先生が迎えに来て、歩いていきます。

学童には、60~70名の児童が集まります。学童についたら、おやつを食べて宿題をみんなでするという流れがあります。

琴子さんは、学校の延長だから嫌なのかなと当時は思っていました。

琥博くんは「流れがあるのも、嫌いなおやつも食べなければならないのも学校と同じ」と言っていたそうです。

琴子さんは毎日仕事を終えると、学童に17時くらいにお迎えに行っていました。

「なんで学童行かないといけないの!?」

琥博くんから何度も問われました。

「仕事があるから一人で家にいるわけにはいかないからね」と答えていた当時の琴子さん。

「当時、仕事を辞めるという選択肢はなかった」と語ります。

つづく