〉Vol.2 2歳で保育園に。慣らし保育、ギャン泣きのママ離れ(この記事です)
「不登校は、本人の心の叫びを表した結果。小さい頃からずっと疑問を抱き、納得いかないことをさせられてきた結果だと思うので、早く気づかされてよかったと思います」と語る琴子さん。そこにはいったいどんなドラマがあったのか。琥博くんとのこれまでと、これからについて、乳児期からたどってお伺いしたお話を、連載でお届けします。
経済的なこともあり、妊娠中から漠然と「子どもが3歳になったら自分も働かないといけないな」と思っていた琴子さん。
琥博くんが2歳の頃、就職が決まり、琥博くんを保育園に預けることにしました。
初めての保育園
仕事に行き始めたのは6月でしたが、琥博くんの保育園入園は4月。入園して1週間は慣らし保育で、1時間から始め、2時間まで伸ばしていきました。
琥博くんは、保育園に行くときは普通でしたが、ママと離れるときは察して、ぎゃんぎゃん泣きました。先生に引き渡すとバタバタ暴れます。
「意外と大丈夫なんですよ」と言う先生の言葉を受け、後ろ髪を引かれながら離れ、帰宅していましたが、気持ちは落ち着きませんでした。
お迎えに行くと、琥博くんは園庭で遊んでいて、ママに気づいても遊びを続けました。琴子さんには、それがすごく寂しく感じられました。
「ママに置いて行かれた寂しさを表していたのかな…。目が他人行儀というか、自分自身も寂しかったし、ママがひどいことをしたと思っているのかな」そんな気持ちを感じたと言います。
先生が言うには、琥博くんは「別れるときには泣くけれど、だんだんと泣く時間が短くなり、先生から離れる時間も早くなった」とのこと。
2週目からは、ちょっとぐずりはするものの、おさまっていきました。
一方で、日によっては泣き、先生に渡して離れるときもありました。
そのほか、上下ある制服を体操着に着かえさせるのは、親の役目だったため、親が教室まで行かなければなりません。
琥博くんはその間ぐずるので、他の親子に比べて時間がかかることが多くありました。
また、ぐずりや癇癪が多かったので、毎朝登園モードにもっていくのが大変でした。
「ごまかしていた」と琴子さんは言います。
琴子さん「ぐずぐずしてても先生が声をかけてくれたりして、なんとか大丈夫でしたが、毎朝、息子のテンションを上げて、ごまかして連れて行っていました。」
登園渋り。保育園の玄関で「帰る帰る」と大泣きすることも
琥博くんが激しく登園を渋ることは、度々ありました。
年少のときのある日は、保育園の玄関で「帰る帰る」と大泣き。
先生ではどうにもならず、大好きなお姉ちゃんを連れてきて、声をかけてくれましたが、それでもダメでした。
「でも仕事に行かなければならず、預けてしまいました」と琴子さん。
環境の変化が苦手、身体に現れる
保育園は年少から年長までの縦割りクラス制です。
年少の時に琥博くんのお世話係を担当してくれた年長さんが卒園して、琥博くんが年中になった初日からの様子からは、琥博くんの、環境の変化への苦手さが、はっきり表れていました。
トイレに行く回数が増えて、部屋にいても落ち着かない様子で、頻尿の症状が一週間ほど続いたのでした。
これは、少し前から予測して、注意してみていてくださった先生が、お迎えの時に話してくださったことでした。
年中。激しい癇癪に追い詰められることも
年中の頃も、激しい登園渋りは定期的にありましたが、琴子さん自身、保育園や学校が好きでなかったので、子どもはみんなそんなものなんだと思っていました。
「大半が保育園は嫌なものなのだ」と。
そのため、ママ友に「毎日連れて行くの大変だよね」と言ったとき、「それはないんだよね」と帰ってきた言葉に驚きました。
何事に対しても責任感の強い琴子さんは、気持ちが追い詰められたこともありました。
例えば、おもちゃの動きが思い通りにならないことで、ギャーっと激しい癇癪が始まります。
「じゃあこうしたらいいでしょ!」と声を荒げることもありました。
決して手を上げることはありませんでしたが、追い詰められた琴子さんは「無視」を最終手段にするしかありませんでした。
琥博くんの様子で特徴的だったのは、ママから出てきた言葉が理解できず混乱するところ。
琴子さん「『ママ、ママ、ママ!今何て言った!?ママの言ったことがわからない!!』そう問いただすほど、意味を理解しようとしていたんだなと思います。」
当時の自分に伝えたいこと
琴子さん「ごまかして連れて行くことをせずに、行きたくないんだったら一緒にいてあげたかったと今は思います。
経済的なことで働かないと、と思い、保育園に預けたけれど、当時の自分に伝えられるとしたら、『もっとゆっくり一緒にいてあげたら?』と言いたい」
琴子さん「『仕事を辞める』ということは、決してできないことはなかった。 だから今、当時できなかったことをがっつりやっています。」
つづく