〉Vol.13 学校との関わりについて書いた手紙(この記事です)
「不登校は、本人の心の叫びを表した結果。小さい頃からずっと疑問を抱き、納得いかないことをさせられてきた結果だと思うので、早く気づかされてよかったと思います」と語る琴子さん。そこにはいったいどんなドラマがあったのか。琥博くんとのこれまでと、これからについて、乳児期からたどってお伺いしたお話を、連載でお届けします。
4年生後半の、学校との関わり
11月に先生からの連絡がありました。
半年ぶりに学校に付き添って、昼休みの集会に参加することにしました。
その際琥博くんは、階段を怖がる様子がありました。
みんなの盛り上がる大きな声には耳を塞ぎ、落ち着かない様子。
集会に参加していた特別支援クラスの先生が気遣ってくれて、特別支援教室へ移動して、1時間おしゃべりをして過ごしました。
また、1月のある日、突然「学校に行きたい」と言う琥博くん。
琴子さんは、昼休みに合わせて付き添って行きました。
このときもやはり、階段を怖がりました。
今後の学校との関わりについて、したためた手紙
琥博くんは、学校に行かず、家で育つことを選択しましたが、こうして、稀に学校と関わりを持つこともありました。
そのため琴子さんは、琥博くんの、今後の学校との関わりについて、改めてきちんと意志を伝えておきたいという思いがあり、手紙にしたためて準備をしていました。
伝えようと思った先は、教育委員会でした。
とはいえ、琴子さんにとっては、とても勇気がいること。
いつかは伝えなければ……と思いつつ、簡単には一歩を踏み出せませんでした。
しかし、幸いにも、町の教育委員長は、琥博くんが1年生の時の校長先生です。
さらに、偶然会った知り合いとの会話が、背中を押してくれるかたちとなり、
4年生もそろそろ終業に向かう3月初め、琴子さんは意を決して一歩を踏み出し、教育委員会に出向きました。
その際、教育委員長は不在だったため、その日の午後電話をすることになり、無事に、教育委員長に電話で話すことができたのでした。
琴子さんは、これまでの経緯と琥博くんの気質のこと、親子の愛着形成を第一に考えていて、今後も琥博くんのペースを尊重する関わりを、学校に希望することなどを伝えました。
登校時に、児童と一緒に歩いてコミュニケーションをとる姿が印象的な校長先生だった教育委員長は、「琥博くんのことはよく憶えていますよ、昆虫に詳しくて」と、そのときのことをお話してくださいました。
そして、「学校にもそのような計らいをしていたらいいでしょうか?」と言って下さり、すぐに連絡していて下さいました。
その日の夕方、担任の先生が、新型コロナウィルスの影響で、このまま休みに入ることを伝えに、訪問されました。
4月に持って行って一年間教室に貼っていてくれた絵も持ってきて下さいました。
そのときに、書面化していた来年度以降の要望を渡すことができました。
そして、先生が移動することも視野に入れて、申し送りをお願いしたのでした。
5年生になった新学期
新型コロナウィルスの影響で休校中だった新学期、担任になった先生から電話がありました。
4年生の時に、途中から補助の先生がクラスにいる、と知人から聞いていましたが、その先生が担任でした。
4年生のときの担任に手渡した手紙は、3月に読まれたとのこと。
琴子さんは、琥博くんが希望し、友達に会いたいと言えば付き添う。そういう心づもりでいます。
先日、同じクラスの友達に偶然会いました。
お互いに会話はありませんでした。
恥ずかしかった?と聞くと「そうよ、恥ずかしいよ」と教えてくれました。
つづく