〉Vol.16(最終回) ホームスクールは自然な結果。自分で選んで生きていく (この記事です)
「不登校は、本人の心の叫びを表した結果。小さい頃からずっと疑問を抱き、納得いかないことをさせられてきた結果だと思うので、早く気づかされてよかったと思います」と語る琴子さん。そこにはいったいどんなドラマがあったのか。琥博くんとのこれまでと、これからについて、乳児期からたどってお伺いしたお話を、連載でお届けします。
一番の思いは、「安心できる家庭を目指していきたい」
「最近はこんなことがありました。
夜遅く12時頃、お腹すいたと冷凍庫を開ける息子。
『ダメならいいけどポテト食べたい』と言います。

私は眠たかったので『明日揚げるからね』と言うと、息子は
『そんなだから、僕のストレスが溜まるんだよ』
と言いました。
次の日になって、ふとそのときのことを思い返してハッとし、
『あの時間は、琥博くんにとっては夕ご飯の時間だもんね』
と伝え、償いの気持ちでポテトを揚げました」

そんなエピソードを語ってくれた琴子さんの一番の思いは、
「安心できる家庭を目指していきたい」
ということ。
ホームスクールが自然な結果だと思う今
「不登校は、本人の心の叫びを表した結果。
小さい頃からずっと疑問を抱いたり、納得いかないことをさせられたりしてきた結果だと思うので、気づかされてよかったと思います。
息子が学校に行けなくなって、最初はどうしたら行けるようになるか、から段階を経て、学校の代わりになる居場所など求めていました。
でもそれは、私や周りの大人の希望であって、息子が求めているものではないと気づきました。
今では家が落ち着くと言ってくれます。
息子の気質を知ることで、ホームスクールが自然な結果だと思います。
逆に学校制度には違和感があります」
琴子さんは、そう語ります。
息子さんの将来像
さいごに、琥博くんのこれからについて、琴子さんは次のように語ってくださいました。
「私自身、色んな職種を経験しましたが、その理由は、結局は人間関係で続かないことでした。
わかったことは、その職場が安心できるところかどうかというのが大きいということ。
そういうセンサーはすぐに働きます。
私の両親は私の決めたことに口出しする方ではなかったので、悩み迷いながらも自己決定してきた人生。
私はそんな経験があるからか、息子が学校に行けなくなり文科省の決めた教科をいっさいやらないことでの不安はほとんどありません。
息子も息子の決める道をしっかりと歩いていくんだろうなと思っています」

おわり
Vol.1 現在5年生。学校に行かない選択をした琥博くんの幼少期 Vol.2 2歳で保育園に。慣らし保育、ギャン泣きのママ離れ Vol.3 小学1年生。スイミング、学童、行きたくない! Vol.4 学校に行きたくない。チック症状でメンタルクリニックへ Vol.5 どうしたら学校へ行けるかという思いがあった頃 Vol.6 母の意識を変えていった、子どもの言葉や体からの訴え Vol.7 学校に行かなくなった後の運動会 Vol.8 「生きている意味がない」「死にたい」と言わせた心の傷 Vol.9 外の世界に引っ張りだすことも必要? Vol. 10「なんで仕事行くの!?休んで、お母さん家にいて」息子の必死の訴えに母は… Vol. 11 回復の過程で向き合ったこと。トラウマケア、昼夜逆転 Vol.12 夫婦の話し合い。家族みんなで幸せになりたい気持ちを伝えることを諦めたくなかった Vol.13 学校との関わりについて書いた手紙 Vol.14 笑い、自由、リラックス…そのままの自分で楽しむ姿 Vol.15 私もHSCだった Vol.16(最終回) ホームスクールは自然な結果。自分で選んで生きていく