『HSC子育てラボ』では、オンライン勉強会を実施しています。

今日は、10月12日に行われた勉強会のレポートをお伝えしたいと思います。

まずは参加された方の紹介をして勉強会スタートです。

KokokakuKokokaku

よろしくおねがいします。今日はテーマを用意してますが、まずはお悩みやご質問などありますか?

【ご質問】

幼稚園年少の娘さんはHSC。集団行動が苦手で運動会などの行事には嫌がって参加しないが、幸い幼稚園が無理強いさせず、してもしなくても良いという方針で、他にも座って見ている子などもいる。参加しなくても周りの目を気にしなくて良い環境。しかし、小学校では?

運動会など、無理して出なくていいと思う一方で・・・

・先生や、周りの保護者はどう思うか

・迷惑がかかる?

・他の児童への影響も?

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無理強いがなく、見学が普通に許されていて違和感のない幼稚園とは良いですね。

でもたしかに、小学校へ上がった時のギャップは大きいもの。

選択肢としては、

  • とりあえず入学して様子を見る
  • 休み休み行く
  • その子にとってストレスフルな行事には無理に参加しない
  • 学校に行く以外の選択にする
  • 学校に慣れるよう頑張らせる

などいろいろ考えられます。

ここで、一番迷うのが、

『頑張って乗り越えること、克服すること、慣れること』

これを前提としておかなくていいのだろうか・・・無理させないこととの境界線が難しい・・・ということ。

◇多数派が基準になった考えである

まだ先の見えない戸惑いに対して出てきたのは、

『頑張って乗り越えること、克服すること、慣れること』というのは、

そもそも『多数派が基準になった考えである』ということ。

つまり、生まれ持った“気質”がそれに合わない場合の子(少数派)のことが切り離されている。

わが子の気質がHSC(とても敏感で繊細)であることを受けとめ、

『頑張って乗り越えさせること、克服させること、慣れさせること』が、その子にどう影響するのか、見極めが大事。

では、この後展開したディスカッションで登場したキーワードをMEMOにしてお届けします。

MEMO

・“乗り越える”、“克服”という言葉は、そこにそれ以外の選択肢がなく、自分の苦手なものと距離を取ることができない時に使われることの多い言葉なのではないか

・HSCの敏感な性質は、生まれつきの気質なので、“慣れ”(刺激への馴化⦅じゅんか⦆)が生じにくい。HSCの場合は、慣れるのに非常に時間を要したり、せっかく慣れてもまた新しい環境に変わったら振り出しに戻ったりする場合が多い

・自己主張=わがままと捉えられるが、その子の独自性・個性をそのまま伸ばす大事な意思表示

・最低限のしつけは必要? しつけの範囲は?=子どもの気持ちをひとつひとつ聞いていく

【説明と合意】お母さんの考えを伝え、それについて子どもの考えを聴く

【交渉】嫌なら何が嫌なのか? 尋ねながら、これが嫌ならこういうふうにしたらどうなのか? などと交渉していく

・子どもの要求を全部聞かないといけないか?=これも交渉

『生まれてきてよかった」と思える環境を整えてあげること

・HSCの子は親の期待に応えようとするところが強い

・外向性や社交性に価値を置く「社会性」が基準となっている世の中で、社会や親との関係に適応して生きていくために、様々な要素を取り入れながら、性格の多くがつくられていくと考えられている

・気質=生まれつき備わった性質

・性格は後天的にその多くがつくられていく

・気質と性格の差が大きいほど生きづらさが生まれやすい

・HSCという生まれつき備わった性質を早い時期に知って、その気質に逆らわないような自分に合ったもの(学ぶ方法や環境など)を選択していくことが大事

・HSCに関する知識や情報を子どもと共有することが大事

・子どもはいずれ一人で歩いていくようになる

・自分の気質をわかっておけば、気質に合わないものに対して無理して適応しようとするのではなく、避けて通れるようになる。合わない環境の中でストレスや心に傷を抱えていくのではなく、自分の考えや感情が否定されずに共感的・肯定的に受け止められながら安心して過ごすことができる環境や関係性の中で、自己肯定感や自分らしさが育まれていくことが大事

・“相手を喜ばせよう”が強い=自分軸が育ちにくい

・同調圧力は、自分の意志・判断によって行動しようとする態度や性質である「主体性」や「独自性」が育まれにくいため、悪影響になる恐れがある

・愛着関係の形成にとって、もっとも重要とされる時期=生後6か月~1歳半と言われるが、この時期に、母親から引き離されるという体験をすると、それがトラウマとなって心に傷が残りやすく(「見捨てられ不安」が強まりやすく)、些細な変化や新しい人・場面などに対して警戒心が強く過剰に敏感であったり、多動で衝動的であったり、後追いなどの母親にしがみつこうとする行動をとったり、母親を困らせることをしたり(拒否したり、抵抗したり、怒りをぶつけたり)するなど、不安定な愛着パターンを示しやすい。特に敏感さを生まれ持つ子は愛着が不安定になりやすい。敏感な子の場合、目安として、5歳頃までは影響が大きいというくらいに捉えておいていいのではないか

・(小3の子どもさんが学校へ行かない選択をしたAさんへ)回復可能です。つらかったねと寄り添ってあげる。我慢した分の反動が出るかもしれないので、それを受け止めていく。子どもさんによっては、幼かった頃に戻ったように、駄々をこねたり、わがままを言ったりして、親を困らせるような言動が目立ったりするかもしれない。それは、幼い頃から登校過程の様々な場面で体験してきた、「不安で不安でいっぱいだったが何も言えなかったこと」や「わかってもらえなかったこと」、「傷ついて悲しくて仕方なくても甘えられなかったこと」など、子どもさんがずっと心に溜めてきたものを吐き出させることが、未解決の傷を修復していくために必要な過程であって、それに対して、否定したり拒絶したりせずに、それらをしっかりと受け止め、言葉にできなかったその痛みに寄り添えるかどうかが重要

・『発達障害と呼ばないで』(幻冬舎新書)、『愛着障害:子ども時代を引きずる人々』(光文社新書)、いずれも岡田尊司先生/著がとても参考になる

・親子の信頼を再構築する時間

・対等な関係の中でどんどん優れていく

・親から自分が必要とされる体験=自己価値・自己肯定感を育む

とても長くなるのでMEMOの公開とさせていただきました。

大変有意義な90分でした。

ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。