~ほぼ5人に1人!不登校に多いHSC=人一倍敏感な子の認知&サポーター増やしたい!~プロジェクト

HSCの子にとって学校は過酷だと言われます。

実際に、「学校がつらい」「行きたくない」という声がたくさん届きます。

夏休み明けの子どもの自殺について、メディアやネットで重要視されるようになった近年、不登校への適切で具体的な対応が次々に提示されたり、「学校へ行かなくてもいい」「逃げていい」との呼びかけもかなり広まっています。

学校がつらいなら行かなくていい、私もそう思います。
だけど、簡単には言えない、責任も持てない。
それでも心の傷が将来を暗くすることから子どもを守りたい!
そう考え、プロジェクトを立ち上げることにしました。

そのプロジェクトとは、

どうしても学校や教育が合わない子やその親御さんにとって、「つらさの理由」「選択の判断材料・安心材料」がわかる本の制作をし、出版する』ことを目指し、クラウドファンディングを募る。その中で、当事者以外の方々を含めたより多くの方に「HSC」という概念の存在や、学校のつらさ、適切な対応についても拡散されることを願ってチャレンジするものです。

(*クラウドファンディングとは:不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うこと)

クラウドファンディングは10月中旬スタートの予定ですが、判断・安心材料を集める活動のひとつとして、一足早くHSCの親御さん、識者の方々、不登校経験のある方やその親御さんなどにインタビューさせていただく企画をすすめたいと思います。

 

今回取材にご協力いただいたのは、ご主人と2人の子どもさんと都内で4人暮らしをしているMさん。30代フリーランスのママです。

HSCである4歳の息子さんは、入園した幼稚園を辞め、現在はMさんが自宅でインターネットを使ったお仕事をしながら子育て中。

小学校は合わないかも、行かないかもしれないと思っていらっしゃると聞き、お話を詳しくお伺いしました。

 

息子さん、幼稚園を辞められたとのことですね

そうなんです。朝、泣き叫ぶ子がお母さんから引き離される光景が毎日続く…子どもさんが登園を嫌がる…壁に飾られた子どもたちの絵はどれも似ていて自由に描かれていない…

このままこの幼稚園に通わせる意味ってなんだろう・・・

 

Mさんは息子さんの行き渋りや幼稚園への違和感から園長先生と話し合った結果、幼稚園を辞めることにしたのだそうです。

 

■息子さんはHSC

Mさんの息子さんはHSCです。

HSCには、敏感さの度合いもタイプも様々なのですが、息子さんはHSS(刺激追究型)も持ち合わせていて、敏感さ繊細さや感受性の強さ・豊かさとともに、旺盛な好奇心でお友達とじゃれあってあそぶことも大好きなのだそうです。

 

■幼稚園の選び方

Mさんは、面談の際も園長先生の誠意は感じられず最初に通った私立の幼稚園選びを間違ったと言います。

 

【幼稚園をどうするかについての相談】

やめようか迷ってる時、自分よりもっともっと見聞の広い人の見解を知りたいと思い、公立幼稚園の園長先生の個別相談枠に申込みました。以前子育て支援センターに行った時にお会いしたことがあり「偉ぶらない素敵な先生だな」という印象があったんです。

最初に「息子の気質として敏感なところがあって」ということをさらっと言いました。するとすぐに園長先生が「じゃあちょっと待って」と副園長先生を呼び止められました。別室で子どもたちの面倒を見て下さっていたボランティアの方に、「敏感なところがあるみたいだからもし何かいたずらとかしても厳しく叱ったりしないようにすぐに伝えてきて」と言ってくださったんです。そして副園長先生が飛んで行ってボランティアの方に伝えてくれました。

それにすごく感動して、こんなに子どもの事を考えてくれるんだと思ってそれを伝えたら「当然のことです。子どもが主体の場なので」ということを言われて。大人の都合優先ではなくて子どものことを一番に考えるというベースがここにあるんだなと思いました。

それで月に1~2回、そちらの幼稚園のイベントに通い、他の保護者のお母さんにも話を聞いてみるとみなさん「ここはいいよ~」と言われるから通わせてみる価値があるなと思ったんです。

うちの子は HSC ではあるけれど、好奇心が強くて友達と遊ぶのとかも すごく好きなのでそういう場を与えてあげたいと思ってます。なのでそこなら行けるかもしれないと思って候補として考えているんです。

 

先生は HSCについてはご存知だったんですか?

 

ちらっと聞いたことがあるということはおっしゃっていました。でも私が言ったことを「ちょっとメモ取らせて」と言ってメモを取って「調べてみるわ」と言われていたので向学心があると言うか常に新しいものを取り入れて、知らないで終わりではないんだなと、いいなと思いました。

園長先生によってこんなに違うんだというのをすごく感じました。

 

息子さんの感想はいかがでしょう

 

最初の幼稚園でつまずいた印象があって、お母さんがいない場所に長時間いるということに対して不安があるみたいで、そんなに乗り気ではないですね。実際行ってみて先生たちと関わってみてまた違うかもしれないし無理させない程度にやってみようかなと。

月1~2回はイベントに行っていて場所慣れしたり 練習はしています。

 

幼稚園はこうして良い教育が、探せばあると感じているんですが、小学校はまたちょっと違うだろうなと思っているんです。

 

小学校についてもすでにお考えなんですね

 

息子は今自宅で私との活動の中でものすごくいろんなことを吸収したり興味を持っています。まだ4歳なんですけど、宇宙とか天気、算数やものすごく幅広いことに興味があって。それがとても自発的と言うか『心の奥から湧き出てくる興味』なんですね。それを潰したくない、固まった箱に当てはめたくないという気持ちがあります。小学校教育というのを今見聞きするかぎり、 息子に合わなそうだし、本人が小学校以外の学び方を選ぶならサポートしたいと思います。

 

でも社会と触れ合う場とか友達と遊ぶ場というのは本人も好きそうだし、自分も友達と遊んで楽しかった思い出が多少あるので、できれば小さい頃からそういう場は与えたいなという気持ちがすごくあります。

彼の場合はずっと家にいるというタイプじゃないと思うからその兼ね合いがどうしたらいいかなと思っていますね。

あと金銭面。フリースクールが仮ににあったとしても6年間そういうところに行かせるとすごい費用になってしまう。

安くても月4万円ぐらいはしますし、 もっとするところもある。入学金ももちろんあるし、お金の面でも後々のこととかも考えると怖いですよね。

 

フリースクールなどの学校以外の選択肢にも経済的な支援があるといいんですけどね

 

子どもが安全にいられる場所だけ提供してもらえればいいんですけどなかなかないですよね。

 

私は沖縄の北部に住んでいて近くにはそのようなフリースクールもないし、環境的に息子には遊ぶ友達がいません。日本にはそのようなところたくさんあると思うんですけど、東京は人口が多いからオンラインで繋がろうというのは感覚としてあまりないでしょうか?

 

オンラインもひとつの手だとは思うんですよね。

でも子どもだったらじゃれあったり重なり合う楽しさとか動きを伴った何もない布団だけの部屋が楽しいとか、そういう体感的な楽しさを望むタイプの子だったらそうさせてあげたい。

 

それはありますね。子ども達同士ってオンラインで顔合わせてもなかなか最初は話出ないんですよね

ぬいぐるみを見せ会う場合もあれば、楽器を鳴らしてお互い演奏を続けてみたり、ズームのチャットや機能で遊んだり、オンラインならではの遊び方を見つけて楽しむ。

オンラインでの通話が終わった後チャット友達になったりして楽しんでるので今の時代オンラインがあるのでこういう感じで仲良くなれるんだなと感じてます。

息子さんは宇宙や算数など幅広く興味を持っていて、きっとそうではない子もいて、それぞれに興味や関心があると思うんですが、例えばオンラインでコミュニティを作ったとして、その子の興味のあるものでお話ができたりとか… 

 

マッチングですね、算数に興味がある子はここ、とか。

 

そうそう。

例えばSlackというアプリがあるんですが、その中でグループ分けしてグループ内だけで会話ができたりするんですね。宇宙の話はここ、算数の話はここ、ゲームの話はここ、とか。

そういうのを一緒に楽しめるような大人や専門の人がいたりしたらまたどんなふうになるのかなと想像してるんですよね

 

うちの子めっちゃハマりそう。すごく好きそうですね。

 

中学生とか年齢の違う上の子とお話をするのもいいですよね。年の差関係なく

 

ホリエモンさんの『すべての教育は「洗脳」である』という本に「学校制度の目的は、優秀な工場勤務者を育てるためのもの」という節があるんです。その通りだなと思って。今の世の中はそういう人材を求めていないし第一幸せがないがしろにされている。小学校の授業で机に座ってみんな同じ知識を与え同じようにするよう指導されてしまったら、自由な発想や湧き出てくる興味を失うことになるんじゃないかと思ったんです。

強制とか将来のためとか言い出すと、興味がなくなってしまうと思うから、小学校はどうだろう…と今から毎日考えてます。

私も小学校中学校楽しくなかった。

そういう人多いんじゃないですかね。

 

Mさん、学校が楽しくなかったのですか?

 

私の場合はそんなに苦痛ではなかったのですが、でも学校がつまんなかったという実感はあります。カリキュラムは自分で選んで、ここがわかったらもう次自分のペースで進んでいいじゃないと思うとか。

 

学校に行かなければいけないという固定観念の恐ろしさを幼稚園に通わせた時に感じたんです。子どもがどんなに泣き叫んでも必死でとにかく行かせなきゃという雰囲気がショックで。

 

幼稚園なり小学校なり、特に幼稚園に関しては絶対に行かないといけないところではないし、躍起になって毎日行かせないといけないって頑張るところではないと思いました。

今幼稚園に行けなければ、きっと小学生になっても不登校になるだろう、大人になってサラリーマンになっても毎日会社に行けなくなるんじゃないかと思ってるママ友もいます。

 

Mさんは最初からそういったものはなかったんですか? それともいろいろ知識を得てそうなっていったのか

 

半々ですね。色んな本を読んだのもあるし、自分自身がもともと「毎日通う事」にさして意義を感じてなかったです。

幼稚園に行く本当の意味として、どういうことをこの子に経験させたいのかっていうのを考えたんです。

今の状況だと息子にとって無理に行かせることに何の意味があるのかと考えた時に、絵を皆同じように描くよう教えたり、先生が不機嫌な顔しながら、イライラしながら生徒に当たるような教室に行かせることに意味が感じられなかった。一時的なものなのか、幼稚園とはそういうものなのか、園長先生に話を聞いたら誠意のない対応だったので辞める決断をしました。

 

Mさんご自身が小学校中学校がつまらなかった感覚も今のお考えに影響してますか?

 

無意味さとか、何をさせられているんだと思うことが多かったですね。集団で集まって何かするということに対する意味が何なのかなという視点があって。

 

休みがちな子でした。小中学校休みがちで、3年生か4年生くらいまではとにかく毎日、他の子がみんな行ってるんだから行け行けと言われてたんですけど、親が「親業」という本を読んで から、子どもの自主性とか自己主張とかを大事にしようという内容だったので、そこから親が変わってあまり学校に行け行けと言われなくなり、私の発言をわりかし聞いてくれるようになりました。

耳を貸すようになってそれから人生の記憶がガラッと変わりましたね

 

行け行けと言われたときとお母さんがそういう風に変わった時の変化はどうでしたか?

 

言われなくなるまでは、毎日行きたくない、居場所がないという感じでした。言われなくなってからはだいたい毎日ワイドショーとか教育テレビとか、やることないから工作したりピアノを弾いたり。インターネットはないし、好きなことやっててリフレッシュして、また行ってみようかなとか。結構のらりくらり許してもらっていて、そのおかげで生きてこれたと思います。

 

しばらく休むと学校に行きにくいとかいうのはありませんでしたか?

 

あるんですけど、自分の中でこれ以上休むと友達関係がきまずいな~、変な感じにみられるな~というタイミングは見計らっていました。

 

ではバランスよく行ってたんですね。それができたのは良かったですね。

 

そうですね。なので息子も、本人の希望次第で週2~3回学校に行くとか、運動会シーズンは嫌いだから行かない、好きな行事のときは行く、3年生の先生はいいから行こうとか、そういう感じで小学校の状況を見ながらゆる~く行くでも別にいいかな~と思っています。うちはさして裕福ではないので私立の学校とかフリースクールという選択肢は取れない可能性もありますから、せめてこのくらいは協力したいですね。

 

柔軟に、ですね。アメリカなどではハイブリッドも普通なんですよね。フリースクールもある、学校もある、ホームスクールしながら時々参加するとか。日本ではそれをするとその子だけずるいということだったりお家に帰って何々君だけいいなっていうことでお母さんが困ったりしますね。

 

アメリカに親戚がいるんですけど、小学生くらいの女の子がいて、その子が小学校に入ってないって聞いてすごいびっくりしたんですよ。それは多分僻地に住んでるからだと思うんですけど、でもアメリカではそういうの普通なんだと聞いていいねと思ったことがありました、昔。

 

家でお母さんがお仕事ができたりとか、収入など、ある条件を満たせば、ですね。

Mさんは今インターネットを使って在宅で収入を得ていらっしゃるんですよね? 以前からインターネットを使ったお仕事はしていらっしゃったのですか?

 

ホームページを作って個人の事業主の方に売ったりとかいうのを短期間やってました。でもそれだと人とのやり取りがあって、子ども優先にはできないんですよね。責任や約束が伴う仕事は無理だと思ってやめました。

 

あとクラウドソーシングで単価の安い仕事をやったりもしました。

 

学校へ行かない選択って、お母さんが仕事に行けなくなったりする点でも簡単ではないんですよね。仕事をしていないと社会から取り残されている感覚とか、収入どうするのとか、子どもと向き合うのがきついとかいろんな理由があるのが現実。じゃあお家でどんな仕事ができるのっていうところがひとつの安心材料になると思うのですが

 

現実問題難しいですよね。

 

課題だと思います。理想ですけどね、たとえばお母さんと子どもで何かプロダクトを作ってそれを売るみたいなことができないかな…とか。敏感性が高いほど環境が合わなければ傷つきやすくてとても疲れやすいですよね。組織とか人が多いところだと精神をすり減らすと言うか…。そういう子達って本当に好きな物を作ったり、深い少人数のつながりでお互い何かを共有したり、協力し合って行くのが向いているのかなと思うので、そういう形で将来につながるスキルや、売り方は?とか、コミュニティ内でそういうことを学んでいけるようにできたらいいな・・・と、そういう話をよくするんですよ。Mさんのような在宅で収入を得られるスキルも備えられると良いなと思ってます。

 

収入のことを考えると、リスクヘッジとしてコンサルティングとか、英語の先生とか、パソコン初心者向けの授業をするとか、収入源を作らないといけないなと思ってます。

 

そういうのってすごく大事だと思うんですよね。組織が苦手な子や人にとっては特に。組織がつらすぎた時に、自分で稼げるというスキルがあるかないか…やろうと思えばそういうことができるというスキル…。学校に行くことにこだわるよりも、マネタイズできるスキルや方法を知っておくことが重要で、サラリーマン家庭に育つと全くそういう感覚がないんですよね。

Mさんは大学を出ていらっしゃるんですよね。何を学ばれたんですか?

 

国際経営学部で国際物流、輸出入とかに 興味を持って。全然関係ない会社に就職したけどパソコン関係の会社でその時のスキルは活きてはいます。その後貿易の会社に入りました

 

学校や会社で得られたスキルはどういうものですか?

 

現在のマネタイズのスキルにつながっているものはと言うと、あまり学校は関係ないのですよね。高校生の時に自分で興味を持ってパソコンを買ってもらって。アメリカに親戚がいたのでその子達と E メールでやり取りをしたくて買ったそれがきっかけで。英語への興味は親が外国の絵本を読み聞かせて買ってくれていたからで、あまり学校は関係ない。まずパソコンを買ってもらってなかったらアウトです。

 

けっこう早い段階でパソコンに興味を持つ…オンラインでつながる…そのシナリオはよく聞きますね。自分にフィットする居場所や人を見つけやすい時代なんですよね。

 

パソコンは世界とつながる、英語も世界とつながるという意味で貢献してくれているものの一つですね。

 

なるほど。最後、Mさんに小学校・中学校が人生にどのような影響を与えているかお伺いすると、

行かなくてもよかったとまではないですけど、マネタイズに関してはそんなに役に立っていないと言うか…

とのお話でした。

 

【インタビューを終えて】

印象的だったのは、Mさんにとって、義務教育などの当たり前のルートに子どもさんを乗せるのではなく、息子さんの興味や好きなこと、苦手なこと、そんな現実をそのまま見極めて、息子さんの感覚・主体性に合わせて柔軟に選択していこうとされていること、そして、そのための情報に対するアンテナをピンと張っているのが頼もしく感じられたところでした。

学校以外の選択の安心材料については、学び方とお友達との遊びとの兼ね合いやお母さんの仕事面が課題に上がりました。私も含め、地方の不便な場所にいてもつながれるインターネットで課題をどうクリアにしていけるのかに、学校以外の選択のハードルを下げる可能性が感じられます。

さらに取材や調査を通して、安心材料やその種を探していきたいと思います。

 

■取材 :kokokaku(斎藤暁子)