本記事は「心のサインを“回復の道しるべ”に変える6つの視点」シリーズの第5回です。
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「あなたは間違っていなかった」——この一言が心を立て直す

「あなたが感じていたことは間違っていなかったよ」

この一言には、
心を立て直す大きな力があります。

 

“真実を認めてもらう”ことが、人を最も深く癒す

ずっと孤独を抱えてきたある青年が、
就職して出会った上司との面談で、
どうせ否定されるという気がして誰にも言えなかった、
「特定の人から感じ取る違和感」
「違和感を抱く自分への罪悪感」
について少しだけ話すことができたとき、
上司からの、

「あなたが思っていたこと、感じていたことはずっと間違ってなかった」
という言葉で救われたように、

人は誰かに真実を認めてもらうことで強く回復します。

 

本来は精神科医療が担うべき役割だが、今は十分に果たされていない

本来、これは精神科医療が担うべき役割です。

しかし現実には、
症状の説明や薬の管理が中心となり、
感情そのものに寄り添ってくれる治療者は
残念ながら多くありません。

 

だからこそ、家庭の安心が“回復の中心”になる

だからこそ、
家庭の中の安心が、回復の核心になる。

安心できる人がそばにいると、
閉じ込められていた感情はようやく外に出られます。

 

感情が解放されると、未解決の過去の出来事は過去のものになり“今の自分”が自由になる

そうすると、
過去の痛みは「過去のもの」になり、
現在の自分が自由になります。

 

HSCの子どもにとっても、この一言が“安全基地”を再生させる

HSCの子どもにとっても、
親のこの一言が「安全基地の再生」を意味します。

▶ 次回:⑥『HSCが体を壊しやすい理由──身体症状は“心の限界サイン”』

執筆者
斎藤 裕
『HSC子育てラボ』顧問/医師
妻との共著書に『ママ、怒らないで。』[新装改訂版](ディスカヴァ―・トゥエンティワン)、
『学校がつらいよ。無自覚な“学校信仰”がHSCの人生におよぼす影響』がある。
編集者
斎藤 暁子
『HSC子育てラボ』代表/心理カウンセラー