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HSC・HSPについて

 

とても敏感で、繊細さや感受性の強さ・豊かさを生まれ持つ気質の子・人のことを、

HSC(Highly Sensitive Child)・HSP(Highly Sensitive Person)と言います。

 

HSC・HSPは一般に、集団に合わせることよりも、自分のペースで思索・行動することを好みます。

これはその子・人の独自性が阻まれることを嫌がるほどの「強い個性」とも捉えられるのです。

 

またHSC・HSPは、「内気」とか「引っ込み思案」とか「神経質」とか「心配性」とか「臆病」などとネガティブな性格として捉えられがちなのですが、

「内気」「引っ込み思案」「神経質」「心配性」「臆病」な性格というのは、持って生まれた遺伝的なものではなく、後天的なものであり、それは過去におけるストレスやトラウマ体験が影響しているものと考えられています。

 

5人に1人は、HSC・HSPに該当すると言われ、HSC・HSP自体は病気や障がいではなく、とても敏感で感受性が強く、かつ繊細さを持った生得的な気質なのです。

*HSC・HSPはアメリカのエレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です

 

HSC・HSPの特徴

※個人差があり、当てはまるものや、その強弱は、人によって異なります。また、HSC・HSPという敏感さと、HSSHigh Sensation Seeking=刺激追究型)もしくはHNSHigh Novelty Seeking=新奇追究型)という強い好奇心を併せ持っているタイプの子・人が存在しますが、ここではHSC・HSPの特徴について記し、HSS・HNSの特徴については触れていません。

 

①すぐにびっくりするなど、刺激に対して敏感である。

細かいことに気がつく(些細な刺激や情報でも感知する)。

 

②過剰に刺激を受けやすく、それに圧倒されると、ふだんの力を発揮することができなかったり、人より早く疲労を感じてしまったりする。

人の集まる場所や騒がしいところが苦手である。

誰かの大声や、誰かが怒鳴る声を耳にしたり、誰かが叱られているシーンを目にしたりするだけでつらい。

 

目の前の状況をじっくりと観察し、情報を過去の記憶と照らし合わせて安全かどうか確認するなど、情報を徹底的に処理してから行動する。

そのため、行動するのに時間がかかったり、新しいことや初対面の人と関わることを躊躇したり、慣れた環境や状況が変わることを嫌がる傾向にある。

急に予定が変わったときや突発的な出来事に対して混乱してしまいやすい。

新しい刺激や変化を好まないのは、“刺激への馴れが生じにくいこと”の影響も大きい。

 

④人の気持ちに寄り添い深く思いやる力や、人の気持ちを読み取る力など『共感する能力』に秀でている。

細かな配慮ができる。

 

⑤自分と他人との間を隔てる「境界」が薄いことが多く、他人の影響を受けやすい。

他人のネガティブな気持ちや感情を受けやすい。

 

直感力に優れている。

漂っている空気や気配・雰囲気などで、素早くその意味や苦手な空間・人などを感じ取る。

先のことまでわかってしまうことがある。         

 

直観力がある。

物事の本質を見抜く力がある。

物事を深く考える傾向にある。思慮深い。       

モラルや秩序を大事にする。正義感が強い。

不公平なことや、強要されることを嫌う。

 

⑦内面の世界に意識が向いていて、豊かなイマジネーションを持つ。

想像性・芸術性に優れている。

クリエイティブ(創造的)な仕事に向いている。

 

⑧静かに遊ぶことを好む。

1対1や少人数で話をするのを好む。

自分が交流を深めたい相手を選び、その相手と同じことを共有し、深いところでつながって共感し合えるようなコミュニケーションを好む傾向にある

大人数の前や中では、力が発揮されにくい。                

自分のペースで思索・行動することを好む。

自分のペースでできた方がうまくいく。

観察されたり、評価されたり、急かされたり、競争させられたりすることを嫌う傾向にある。

 

⑨自己肯定感が育ちにくい。                           

外向性を重要視する学校や社会の中で、求められることを苦手に感じることが多く、人と比較したり、うまくいかなかったりした場合に自信を失いやすい。

 

⑩自分の気質に合わないことに対して、ストレス反応(様々な形での行動や症状としての反応…HSCの場合「落着きがなくなる」「固まる」「泣きやすい」「言葉遣いや態度が乱暴になる」「すぐにカッとなる」、「不眠」「発熱」「頭痛」「吐き気」「腹痛」「じんましん」など)が出やすい。

細かいことに気がついたり、些細な刺激にも敏感に反応したり、過剰に刺激や情報を受け止めたりするため、学校や職場での環境や人間関係から強いストレスを感じてしまい、不適応を起こしやすい。

人の些細な言葉や態度に傷つきやすく、小さな出来事でもトラウマとなりやすい。

HSC・HSPのセルフチェック

エイレン・N・アーロン博士のホームページにある、HSC・HSPのセルフチェックは → こちら です。

 

参考文献

 『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』エレイン・N・アーロン/著(SB文庫)
 『子どもの敏感さに困ったら読む本』長沼 睦雄/著(誠文堂新光社)